小さなデイサービスを始めて、二年が過ぎました。

その二年間の中で五名の利用者さんを看取ってきました。
ディサービスで看取りとは?と不思議に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、
正確には、ろくじろうの利用者さんが自宅で亡くなる応援をさせて頂いてきたという事です。

先日の朝日新聞にはこんな記事が載っていました。
アンケートによると自宅で死にたい方と、病院でも構わないという方が半々だが、
どちらも共通したのぞみは「ぴんぴんころり」と死にたいというアンケート結果
だったそうです。

そして、寝たきりになって亡くなるまでの平均日数は八か月半だそうです。
ろくじろうに通って亡くなった五名のうち、最後にデイサービスにいらしてから
亡くなるまでの日数は、二日から三週間。

そして、昨年末に見送らせていただいたのが宣さん、
三日前までディサービスに通ってくださいました。
今日は特に記憶に新しい宣さんの事を書かせて頂こうと思います。
92歳の男性で奥様と二人暮らし、認知症を三年前より患い、
今年の夏の終わりころから心身ともに徐々に落ちてきているのが、
私達にはわかりました。
しかし、意外にも、毎日一緒に過ごす奥様は、そんな変化に気づかない様でした。
それは休み明けの月曜日の事です。
私たちはやってきた宣さんの表情をみてびっくりしてしまい、
急遽主治医に往診をお願いしました。
そして奥様、ケアマネにも無理をお願いして往診に立ち会って頂きました。
わたしたちは、宣さんの表情を見て、死が遠くないことを感じたからです。
それなのに、意外にもご家族はその現実に気づかないのです。
主治医はこうおっしゃいました。
「ともかくすぐに入院させましょう」
「先生、待って下さい、奥様はきっと入院は望まないと思います。
最後まで自分で見てあげたいとずっとおっしゃっていました」
それでも、ケアマネとドクターの間では入院しかない、ともかく検査を
という話だけが進んでしまいました。二人の専門家に突然そういわれ、
その方法に従うしかないのかと、その時奥様は思われたそうです。
自分ひとりで夫を見る事は不可能なのだろう、従うしかないと。
私はこう思いました。この人を今自宅から引き離し、入院させたら、
この人の心が壊れてしまう、そのうえで命をつなぐことは無理だろうと。
でも、私には「やめてください」という権利はない、
責任も負えないのだと考えてしまいました。
その時、老人ホームでの看取り経験を重ねてきたまだ若いスタッフがはっきりとこう言ったのです。
「もう、入院したら帰って来られないかもしれないよ、麗子さん、本当にこれでいいの?」
その言葉に奥様は我に返ったそうです。
もう、誰になんと言われようと自分は揺れないと思ったそうです。
「私は家で夫を見ます」はっきりとそう宣言したのです。
それだったら麗子さん一人に頑張らせない、私たちもいる、訪問看護もある。
どんな方法があるのか一緒に考えようと伝えると、入院を、検査をというばかりだったドクターが、
麗子さんの想いを受け止めてくださったのです。
後はケアマネの知恵と、ドクターの力添えにより皆が動き出したのです。
幸いご自宅が近かったので、私たちは何度か様子をうかがいにでむき、
来られるチャンスを見計らってろくじろうまでお連れする日が数日ありました。
ともかくだるくていたたまれないという宣さんに、循環をよくして、
浮腫みを出してくれるレモンやラベンダーでマッサージし続けました。
手を握り、いつでも目を開いたときに、誰かの顔が宣さんに映るように配慮しました。
「僕はここに居てもいいの?」それが宣さんの苦痛や居眠りの間の問いかけでした。
「いいんだよ、宣さん、いつでも私たちがそばにいるからね」
そういうと安心して目をつぶられました。
宣さんの枕元のテーブルでは、いつもの利用者さんたちが、
心配そうに見つめながら、それでもいつものろくじろうの時間は流れていました。
私たちは、なくなってゆく仲間たちの姿を隠しません。
それは「あなたがこうなっても、いつでも最後まで私たちはあなたの側に居続けるから
安心してください、ここで死んでもいいのですよ」という無言のメッセージを送る事にもなります。
翌日、迎えに来てほしいという奥様からの電話に、伺ってみた時、宣さんの様子を見て、
もう、外の風に当てる事はよしましょうと判断させていただきました。
それから、私たちは仕事が終わると宣さんのもとへ通いました。
エンジェルがそばにやってくると言われるローズ・オットの特選ブレンドオイルを作って行き、
宣さんの体中をマッサージしました。
そばでは奥様が私たちと泣き笑いしながらこう問いかけてきます。
「ねぇ、どのくらい持つと思う?今月いっぱい?今年いっぱい?」
私たちは首を横に振ります、
「いえ、麗子さん、それは今夜でも明日でもおかしくない事です。」
そんな私達との会話の中から、彼女は大切な人との別れの覚悟を少しずつ
固めていったようでした。
一昨日、葬儀後に初めて自宅を訪ねてみると、麗子さんはこうおっしゃって下さいました。
「自然に死ねない今という時代に、私はろくじろうに出会って本当にラッキーだった。
自分の覚悟と、ドクターの力添えがあったから本当に満足する最後を送ることが出来たの、
自分はやりつくすことが出来たと、とても満足と感謝をしているのよ、ありがとう。
そして、私は白浜で生き続けるから、私の介護も、最後も必ず見てね」

(このお話は、先日鴨川で開催された「リハビリケア文化祭」にて発表させてりただきました。
麗子さんに話してもいいかなぁ?とお伺いを立てると
「え!私たちの事、話してくれるの?」と喜んで下さいました。
麗子さんは都会から移り住み、信頼する夫が認知症になっても誰にも隠すことなく、
東京と白浜でパッチワーク講師をする明るくてかわいい女性です。)
アロマと介護の実体験談、まだまだ皆さんにお伝えしたいことがあります。
小規模多機能・ろくじろうになったら、アロマで介護塾とベビマ塾も復活予定です。

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南房総市社会福祉協議会(44-3577)にて「介護者のつどい」に呼んでいただきました。
2月 7日(火)13:30~15:00 三芳保険福祉センター
2月10日(金)13:30~15:00 ちくら介護予防センター
アロマをやってみよう/交流会
参加費500円(持ち帰りオイル付だと思います♪)
・実際にアロマオイルをブレンドして、手足のマッサージを実践します。
・「なんのために介護をするのか?」介護職・介護者家族さまざまな立場から
くすぶった心、ぶちまけ合えたらいいなぁって考えています。
ぜひぜひ、ご参加ください。
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(写真と文章は無関係です。ごめんなさい)